2018年12月マドリード(+少しだけ香港ディズニーランド)6日間の旅⑨ マドリード二日目午前・後半 ガイドさんとともにプラド美術館

ガイドさんとともにプラド美術館へ

朝イチは少し離れてラス・メニーナス全景を見られるチャンスだよ

プラド美術館に到着したのが、10:00ちょうどくらい。前日私が一人で訪れたときのように、チケット売り場左手の一階の入り口から入場するのかなと思っていたら、ガイドさん達は二人で相談して、「オープンと同時なら見られるかもしれません。2階から入りましょう。」と正面2階の入り口から案内してくださいました。いったい、何が見えるのでしょうか?

数ある名画をとりあえずパスしてガイドさんが連れてきてくださったのは、ベラスケスの部屋です。間に合うといいのですが、、、とガイドさんとともに部屋に入りますと・・・。

部屋の突きあたりに掲げられたラス・メニーナスの前には誰もいません。つまりこの部屋の入口、絵画から少し離れた場所からラス・メニーナスの全体像を見ることが出来るのです。普通ならばこの絵画の前には大勢の人だかりがあり遠く離れて見渡すことはほぼ不可能で、開館と同時にだけチャンスがあるそうです。

そこには、まさに光り輝く絵画がありました。光を浴びているというよりも、ぱぁっと光を放っているようでした。

遠くから眺めましたラス・メニーナスはですね、前日の目の前で観たとき以上に、人々がまるで生きているかのような息吹を感じました。それが絵画であることが信じられないような、あちら側に実際にもうひとつ部屋があるような奥行きを感じ、そこに王家の人々が立っているかのようでした。素晴らし過ぎる!

少し離れたところか見ると、また違った素晴らしさに出会えるかもしれません。この画像は絵はがきを撮影したものです。

ガイドさんは、この日のたった一人の客である私がラス・メニーナスを見ることを目的にここにやってきたことをご存じでしたので、気を利かせて真っ先にここへ案内してくださったのでしょう。ありがたいご配慮です。本当にいいものを見せていただき、感謝の言葉もございません。

しばらく遠くから眺めたのち、近くまで行ってまたゆっくり眺めました。最初から最後まで、他にはお客さんはおらず、静かに鑑賞させていただけました。

「お客さんの中には絵画の中から声が聞こえるなんておっしゃる人もいるんですよ。怖いですよね。」とガイドさんはおっしゃいました。ごめんなさい、私も声が聞こえるなんて思ってしまう派です。

天才画家ベラスケスは、空気や光までも絵画の中に描きこみ、奥行きを表現したそうです。近くで見るとかなり粗いタッチも、離れてみると美しく見えました。不思議ですね。

心ゆくまで高貴で可憐なマルガリータ王女の姿を鑑賞させていただいてから、ガイドさんの案内でいろいろな絵画を見せていただきました。ガイドさんはどんなくだらない私の質問にも鮮やかに答えて下さるし、絵画や画家の詳しい解説も聞けたし、自分ひとりで闇雲の歩くのと違い、無駄のない素晴らしい案内でした。

このプラドでの私の大好きな絵はもちろんベラスケスの「ラス・メニーナス」と前日に見たルーベンスの「三美神」ですが、その他で特に印象的だったものをあげてみますね。

私の怖い絵その1 カルロス四世の家族

前日のプラド美術館のところでも書きましたが、私はラス・メニーナス以外で印象が強かったのは、ゴヤによる「カルロス四世の家族」です。この絵画も等身大の大きなサイズのもので、チケット売り場の2階の入り口から入場してまっすぐ進んで行くと、突き当りにちらちら見えます。私は最初それが絵画とは思わず、1800年当時の衣装を身にまとったマネキン人形みたいなものが並んでいるのかと思って近づいてびっくり、絵画です。もちろん平面で、3D加工を施してもいません。それなのに、遠くから見るとまるで立体のように見え、王家の人々がころりと浮き出たように飛び出してこちらをじっと見つめています。不気味なんですよね、それが。

ゴヤによるカルロス四世の家族。真ん中の王妃が見た目通りの傲慢な女性だったと言われていますが、王夫妻はこの絵画をとても気に入っていたと伝えられています。不思議ね。この画像は絵はがきを撮影したものです。

ラス・メニーナスの感想でも「まるで生きているような」「そこに本物の人が立っているような」と書きましたが、生々しさのないもっと柔らかいイメージで、もちろん恐ろしくはなく、むしろ生命の息吹を感じて温かく清々しい感じ。愛を感じる絵画ですね。

しかし、こちらの王家の集団肖像画はですね、なんというか冷たくてオドロオドロシイ。生々しくて恐ろしいのですよね。なぜかしら?画家であるゴヤ本人の自画像まで書き込むというラス・メニーナスとかなり似た構図であるのに。。。

恐らく描かれている人々のあまり良くない?性格が透けて見えるような人物の描き方だからでしょうか。この絵画の主人公は王様である中心右手にいるカルロス四世であるはずなのですが、どう見てもセンターをキープするマリア・ルイサ王妃に目が行ってしまいます。彼女のその姿から、意地悪で狡猾な性格であることがわかってしまうのは何ゆえのことでしょう。実際、宰相ゴドイを愛人にし王様よりも力を持ち、両側にいるのは愛人との間のこどもであるとまで言われているような悪女だそうです。そういった人間の本質までも描きだしてしまうゴヤは、やはり天才だったのでしょうね。

ちなみに、このような姿に描かれて王妃さまご本人はどう考えていたのでしょうか?と、ガイドさんにお尋ねしましたら、「王妃は自分の腕の美しさをとても誇っていたので、美しい腕を描いてもらえたこの絵画をとても気に入っていたそうです」とのことです。腕の美しさとはね。誇るものは人それぞれなんですね。

並んでいるのを見たかったね。着衣のマハ・裸のマハ

着衣のマハ。この画像は絵はがきを撮影したものです。

裸のマハ。現在は200年特別展に展示されています。並べて見たかったね。この画像は絵はがきを撮影したものです。

ゴヤには着衣のマハ、裸のマハのような怖くない絵もあります。ふたつの絵画は平素は並んで(というか近くに)展示されているのですが、200年特別展開催中の現在は、裸のマハは特別展での展示となっています。ゴヤは裸のマハで、女神ではない生身の(しかもアンダーヘア付きの)裸婦像を描いたということで大問題となり何度となく裁判にかけられたそうですが、今見るとなんてことない淡々としたエロさもない裸体じゃんと思いました。どこかの偉い人のお屋敷に裸のマハの上にカバーのように着衣のマハをかぶせて飾られていたそうです。着衣の方の絵画をはずしたときに、裸のマハが出てくるところがたまらんかったのかな、当時の人々。

私の怖い絵その2・ゴヤの黒い絵シリーズ

ゴヤの黒い絵シリーズも怖かったです。ゴヤが晩年、聴力を失ってから過ごした聾の家の壁に描かれたものですが、黒っぽい色調で神様も人間の形もかなり奇妙な感じなものばかりです。特に、ギャーっとなるのが我が子を食らうサトゥルヌスですね。神話を元に描かれたものだそうですがこれが神様の為せる業?我が子を頭からガリガリと食べていくなんて恐ろし過ぎ!これらの絵画は壁に描かれたものをはがしたものだそうです。怖かったよ。

我が子を食らうサトゥルヌス。将来自分の子供に殺されるという予言を恐れたサトゥルヌスが我が子を次々食べてしまったというローマ神話がテーマ。実際の神話では丸のみされただけで、こどもはポンと飛び出して生還したとされていますが、この食べ方では生き返りそうもないですね、怖い。画像はwikimediaより。

運命の女神たち。3人の女神たちに運命を操られた真ん中の男性は諦めきった無表情。女神も人間の姿も不気味です。画像はwikimediaより。

私の怖い絵その3(そして最大の恐怖)・狂女フアナ

狂女フアナ。彼女の目、怖すぎ!画像はwikimediaより。

最大怖くて印象に残った絵は、中野京子さん著「怖い絵シリーズ」でも有名なフランシスコ・プラディーリャによる「狂女フアナ」です。フアナはハプスブルグ家神聖ローマ皇帝マクシミリアン1世の長男であるブルゴーニュ公フィリップ美公(美しいのでこんな呼び名)と結婚したカスティーリャ・ラゴン連合王国(スペイン王国)の王女。結婚当初は美しい夫フィリップ美公と仲睦まじくしていたそうですが、次第に夫の女性関係で裏切られることや複雑な王位継承問題などで心を病むことが増えていき、精神不安定になりました。そして、ついには夫が病死(生水にあたったらしい)してしまい、ますます正気を失ってしまいます。この絵画に描かれているのは、夫の棺とともに国中をさまようフアナとそのお付きの人々の集団の様子です。フアナは夫の死を受け入れることが出来ず生き返るのではないか?と思い続けたり、かと思えば誰かに(ハプスブルグ家の人間)に夫の亡骸を奪われるのではないか?など、さまざまな思い・妄想に取りつかれあてもなくさまよっています。お付きの者たちのうんざりと疲れ果てた表情に対して、フアナのらんらんと見開いた目を見ると、

ヒーっ!!!!

と叫びだしたいような恐怖にかられます。写真でこの絵を見ることがよくありますが、実際に見ると怖さはそんなもんでないです。ひりひりとした怖さです。怖かったけど、また見てみたい、お化け屋敷的な怖いもの見たさでもありますね。

絵画の解釈や歴史的なことは諸説ありますし、私の勘違いもありがちですのでご注意ね。

◆参考文献

プラド美術館とトレド(エル・グレコゆかりの地)を訪れるなら、以下の絵画解説本がとても分かり易くて勉強になりますよ。芸術に疎い私のような人間には打ってつけの優しい解説で綴られています。行く前の予習はもちろん、帰って来てからも余韻にひたれます。



市内観光(プラド美術館含む)終了

ガイドさんにはプラド美術館で10:00から11:30まで、たっぷり解説していただきました。本当に楽しかった。プラド美術館も怖い絵が多いけど、私はソフィア王妃芸術センターよりも断然こちらの方が好きです。いや、まだソフィア王妃芸術センター方はほとんど見ていないから、いつかガイドさんとともに訪れるべきでしょうね。

ガイドさんとお別れしてから、特別展を見学しました。いつもはないピカソの作品も特別展には来ていましたよ。それから売店で絵はがきとマルガリータ王女のブックマークを二種購入しました。私が出発前々日に中古で入手出来たラス・メニーナスの腕時計は見当たらず、別の絵画バージョンの腕時計はありました(28ユーロ)。

最後にもう一度ラス・メニーナスの前でマルガリータ王女にお別れしてから、プラド美術館をあとにしました。素晴らしい体験でした。

マルガリータ王女のブックマーク。大きい方(1.5ユーロ)は絵画のシートをパウチしただけのもので、小さい方(2ユーロ)はマグネットが付いていて本のページを前後で挟めるようになっています。

12:00頃、プラド美術館を出ました。午後のトレド観光ツアーは15:00の集合でしたので、まだ3時間ほどあります。全力でプラド美術館を楽しんだせいでちょっと疲れましたので、一旦ホテルに戻ることにしました。

昨日同様、プラド美術館前から大きな道を横断し、適当に斜めに行く道を歩いているとホテルのほぼ真ん前くらいに出ました。方向音痴の私にしては、ここマドリードでは順調です。下手に地図を持たずに、己の感性に従えばよかったのね、、、なんて、エラそうなことは言いません。偶然うまくいっただけです。

実は朝レストランで食べ過ぎて、全然お腹が空いていませんでした。やはり、朝、一日分くらいの量を食べてしまったのに間違いありません。それでも、午後の観光に備えて、お湯を沸かして、カップ麺を食べてみました。見た感じふつうの日本でもよくある感じのカップ麺でしたが、スープがあまりにも薄味でなんだかイマイチでした。塩でも振ればちょうど良さそうでしたが。スペインの人は薄味好きなのかしら?それにしては生ハムは塩気が強いよね。

スペインのカップ麺を食べてみました。味が薄すぎてイマイチ。減塩食品だったかしら?

そういえば部屋に戻ったときに、二つの天窓が開いていました。ルームキーパーの方がお掃除のときに開けっ放しにしたまま行ってしまったようです。リモコンとその説明書がありましたが、使い方がなんとも複雑で英語でもさっぱり要領を得ません。窓は二つあり、それぞれの窓の開閉、シャッターの開閉と選択しなければならない項目がいくつもあり、こちらが閉まればあちらが開いたり、窓を閉めたいのにシャッターが閉まったり、、、、。もうお手上げ、ルームキーパーさんを呼ぼう!と諦めかけたとき、なんの加減かうまく両方の窓を閉じることが出来ました。リモコンを片手に10分以上格闘しました。夜にシャッターを閉めたいなと思っても、思わぬ動きをされてはたまらんので、一切手を触れないことにします。

天窓を閉めるのに悪戦苦闘。汗かいちゃったわ。

次のページは、トレド観光だよ。この旅行記の目次はこちらです。

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